「さてさて、問題児くんね」
結乃が厳かに言う。
「いや、そんなことないでしょ」
理衣がすかさずツッコミをいれる。
さて、結乃が言う所の問題児、飯塚の成績は。
#30 飯塚 悟史
登板試合 : -
投球回数 : -
防御率 : -
勝利 : -
敗北 : -
セーブ : -
ホールド : -
奪三振 : -
「一軍成績なし! もう、そういう年代じゃないのよ!」
「確かに、今季は厳しい結果だったね」
「もう、5点よ、5点!」
「厳し……くないのかぁ」
「何せ2軍でも防御率9点だからね!」
「それは言い訳できないかもねぇ」
高卒で入団してプロ6年目。
まだ若手ではあるが、そろそろ一軍で、「これは」と思わせるようなものを見せてくれないと厳しい年だ。
「オフには戦力外になるかも? と思ったくらいだからね」
「確か24.5%減、だっけ」
「それは妥当な所でしょ。球団としては期待をしているから残しているのでしょうから、マジで21年はラストチャンスかもよ!?」
「何が悪いんだろうね。球速は速くなったみたいだけれど」
「速ければいいってもんじゃないからね」
球質が軽いのかもしれない。
それ以上に、制球と変化球で打ち取っていくタイプのはず。
だが、制球も変化球、決め球もコレというものがないのだから、結果もある意味で妥当なものなのか。
「ただフェニックスリーグでは好投したとかしないとか?」
「中継ぎに変わるのかな?」
「先発で結果を残していないし、与えられた場所でまずは成果を出すことよね」
「中継ぎは厳しいし、層が厚くなるのは歓迎だからね!」
「短いイニングを全力で、それで覚醒する可能性もあるからね」
球速は150キロを超えたともいう。
線が細い感じは否めないが、パワーアップはしてきているのだろう。
あとはフェニックスリーグで出来たことが、一軍で出して通用するかだろうか。
「新潟出身で期待している人も多いみたいだしね、後のない男の強さを見せてやれ!」
「頑張ってください!」