「今回は柴田ね」
結乃が淡々と言う。
「2020年はキャリアハイ!」
理衣が少しテンション高めに言う。
#31 柴田 竜拓
出場試合 : 110
打数 : 233
打率 :.266
安打数 : 62
HR : 2
打点 : 20
盗塁 : 0
「この数字がキャリアハイだって喜んでいるようじゃだめよ!」
「厳しいね」
「いやいや、これで満足されたら困るでしょ。レギュラーとしてみるなら尚更」
「控えなら十分だけど、ってことだよね」
2020年はシーズンの試合数が少なくなったが、その中でも殆どの試合に出場していた。
完全なるレギュラーではなくとも、二塁、遊撃で確実に地位は高めている。
その理由の一つが打撃の向上だろう。
「シーズン序盤から中盤は好調だったわよね。3割近くとか打ったり?」
「打撃覚醒か! ってね。引っ張って強い打球とか打てていたしね」
「力強さは増したわよね。実際、ほぼ同じ打数の2018年は2塁打6本に対し、20年は14本打っているからね」
「守備の上手さは分かっているわけで、やっぱり打撃だよね」
打撃で数字を残せれば、必然的に出番が増えてレギュラーに近づく。
当たり前といえば当たり前だが、そこにかなり近づいた年だったといえるだろう。
「そうねえ、点数的には70点くらい付けられるかしら」
「年棒もアップしたもんね」
「とはいえ完全レギュラーじゃないからね、まだ!」
「大和選手、倉本選手との争いに加え、田中選手が加入して、若手の伊藤選手、ルーキーの牧選手」
「守備は重要だけど、やっぱ打てないとね!」
個人的にはショートよりもセカンドの守備の方が安定しているように思えるし、安心して見ていられる気がする。
あとは、意外と大切なところでポカをしているイメージがあるので、その辺か。
「とにかく。期待されているんだから、ここでレギュラー掴めなかったらもう駄目と思う位でやらないと」
「それだけの力はあるはず、です!」
「甘さをなくしてほしいわね」
「そういう風に見えている、ってことだね」
「あと、なぜか足が速いと思われているみたいだから、期待に応えて盗塁とかバンバン決めちゃって!」
「なんでだろうね。小柄でオールドスタイルだと足が速く見えるのかなぁ」
「実際は普通くらいなんだけどね・・・・」
柴犬からケルベロスに、21年こそ進化せよ!