「乙坂かー」
なんともいえない感じで言う結乃。
「テンションあげていこうよー」
理衣が盛り上げようとするが。
盛り上がらないのは成績のせいか。
20年はこんな感じ。
#33 乙坂 智
出場試合 : 85
打数 : 101
打率 :.208
安打数 : 21
HR : 1
打点 : 7
盗塁 : 5
「代打がメインとはいえ、この数字は寂しいわよね!」
「うーん、確かに。目立った試合も思い浮かばないしね」
「それはなかなか辛辣だけど、その通り」
「19年は、勝負強さを見せてくれていた気がするんだけどね」
代打でも、スタメンで出ても、いまいち結果を残せなかった。
一年を通して一軍にいたとはいえ、評価できるような結果ではない。
「ということで、40点かしらね」
「うーん」
「ラミレスは勝負強さとかいっていたみたいだけど、これじゃあ代打としても起用できないわよ!」
「年齢的にも勝負の年だよね」
「遅いくらいよ! いつまで勝負するつもりかしら」
レギュラーを取れたわけではない。
かといって二軍漬けというわけでもない。
「そろそろ若手がもっと押し上げて欲しいわね!」
「乙坂選手も中堅になってきたもんね」
「1.5軍から抜け出せないようじゃあ、先は明るくないわよ!」
外野には似たような選手が多い。
同じような成績ならば、年が下の関根や楠本に変わられてもおかしくない。
「コレというウリがないのよね。打撃も守備も走塁もどれも無難というか今一歩というか」
「厳しいね」
「これが若手の頃なら良いけれど、もう何年も変わっていない気がするし」
「殻を破れないね」
「あるいは、殻を破ってこれなのか」
横浜が好きで、横浜が入りたいと思って入団してくれた選手。
ファンの人気もあるが、それだけで一軍確約にはならないし、戦力になってもらわないと困る。
「10年だからね、ここが勝負どころよ」
「ライバルは多いけれど、そこを勝ち抜かないとね」
気張れよ、ニコ。