「大活躍の佐野よ!」
力強く結乃が言う。
「凄かったね、キャプテン!」
理衣も手を力強く叩いている。
色々と不安視もされた佐野。
だが、そんな不安もバットで粉砕してみせた。
#44 佐野 恵太
出場試合 : 106
打数 : 402
打率 :.328
安打数 : 132
HR : 20
打点 : 69
盗塁 : 0
「もともと打撃が期待されていたわけで、シーズン通して出場すればある程度は打つと思っていたけれど・・・・」
「予想以上だったよね! とにかく安定していて、首位打者に!」
「さすがにシーズン後半は疲れとかもあったのか落ちたけれど、それでも立派なもんよね」
「ホームランも、20本打ったしね」
「15本くらい打ってくれたら御の字と思っていたけれど、まさか20本打つとはね」
「本当に、凄かったね」
- レギュラー抜擢
- キャプテン
- 4番
いずれも初のこと。
特にレギュラーに関しては実績がないだけに、数字がついてこなければ周囲の不満も出ていた可能性はある。
それを、見事に結果を出して応えて見せたのだから凄い。
「あたし的には、.270、HR10~15本、それくらい打ってくれればと思っていたからね。佐野には謝らないと!」
「多くの人の予想を上回ったよね、きっと」
つなぎの四番でも十分だった。
それを上回る、決める4番の姿も途中からは見せてくれた。
「ということで、文句なしの活躍、90点!」
「高得点!」
「最後、脱臼せずに出場し続けたら95点いったわね!」
「それかぁ・・・・」
とはいえ、特にいちゃもんつけるところはない。
「問題は、真価を問われる21年よね!」
「相手のマークも厳しくなるだろうしね」
「20年に活躍しただけに、それ以上に! って力む可能性もあるしね」
「がむしゃらにやって数字を出したけれど、意識して崩しちゃう、なんてこと、ありえそうだもんね」
「周囲のサポートが重要よね」
打線に関しては、全員が無事に揃うという前提ではあるが、宮崎、ソト、オースティンが佐野の前後を固めるだろう。
彼らが実力通りの力を出しさえすれば、佐野一人にマークがきつくなることはないだろう。
問題は、精神的な部分か。
「ロペスが退団したからね。ベテラン野手がいなくなって、大和や宮崎も率先して引っ張るタイプじゃないからね」
「チームの状態が悪くなった時とか、だよね」
「伊藤光とかその辺、期待したいけれどね」
「誰か一人じゃなく、皆で支えたいね!」
果たして21年はどんな数字を残してくるか。
期待もあれば不安もある。
それでも、まぐれで首位打者が取れるものではない。
きっちり練習して、仕上げていけば、大崩れするタイプではないとも思える。
「他の主力が右打者だからね、佐野はそういう意味でも重要だからね」
「そういう意味でも真ん中に座ってくれるのがいいよね!」
「打点をもっと増やして、勝利に貢献し、チームを引っ張れ!」
「たくさんのお立ち台、楽しみにしています!」