「またまたルーキーの東妻ね」
はふーん、という感じで結乃が言う。
「この50番台はルーキーが続くね」
理衣も頷きながら言う。
そんな東妻の一年目の二軍成績である。
#57 東妻 純平
出場試合 : 32
打数 : 57
打率 :.070
安打数 : 4
HR : 0
打点 : 4
盗塁 : 0
「打撃成績だけ見ると二軍でもちょっとな数字だけど」
「守備位置が捕手だから、それどころじゃないかもね」
「なので今回も60点よ!」
「そこは変わらないわけだね」
打撃よりも覚えなければいけないことが山ほどあるだろう。
守備のこと。
リードのこと。
投手陣の特徴のこと。
打撃を疎かにしていいわけではないが、その辺は基礎をきちんと叩きこんでいる状態なら良いだろう。
「二軍で頑張っている若手捕手陣はみんな強肩がウリよね」
「東妻選手もそうだよね」
「肩が強いだけじゃ駄目だけど、こればかり教えられないから本人の武器よね」
「あとはスローイングの正確さ、無駄のなさとか、かな」
「そしてロッテに実兄がいるわけね」
「兄弟バッテリーはならなかったけれど、兄弟対決はありえるね!」
「お互いに一軍で活躍出来ているといいわよね」
「楽しみ!」
まだまだ覚えなくてはならないことが山積している。
若手の中ではやはり山本が一歩抜けているとは思うが、益子とともに切磋琢磨してほしい。
「まずは三年間、基礎をみっちりと。そして5年以内に一軍出場を目指して!」
「焦っても良くないもんね」
「一軍に上がるからには、試合に出ないとだからね。中途半端な状態じゃ駄目よ!」
「そのためにも二軍で力を付けて結果を!」
若さは楽しみしかない!