「ルーキーの蛯名ね」
ふむふむと頷きながら結乃が言う。
「結構、期待されていたよね」
笑顔で言う理衣。
そん蛯名の一年目。
#61 蝦名 達夫
出場試合 : 17
打数 : 21
打率 :.143
安打数 : 3
HR : 1
打点 : 1
盗塁 : 0
「まー、そう甘くはなかったってことよね」
「厳しいね!」
「でもホームランは良かったわよ」
「センター方向に打っていたっけ?」
「あの打ち方でいけたらよいわよね」
「楽しみだって思わせてくれたよね」
一軍の数字だけを見るならば跳ね返されたというところだが。
一撃、印象に残したのは大きいだろう。
「大卒だけどルーキーだから60点」
「そこは変わらないんだね」
「ドラフトも下位だし、即戦力、って感じでもないしね」
「まだまだこれから、頑張って!」
「右打ちの日本人外野手、となると桑原、細川が相手かしらね」
「外野は厳しいけれど、なんとか食い込みたいよね」
「蛯名が入るとしたら、やっぱり打撃でアピールするのが一番よね」
「上背もあるし、二軍では好成績を残しているんだよね」
打率.333
6本塁打
出塁率.419
長打率.667
二軍では十分な成績を残しているわけで、あとはいかに一軍で活躍するために必要なものを磨けるか、か。
「一軍の高さも肌で実感したでしょうしね。二軍では成績残しているんだから、チャンスはあるはずよ」
「細川選手も二軍で三冠だから、そこを越えないとってのはあるけれどね」
「まあ、左打ちの外野手たちより圧倒的な数字を残して奪ってもいいのよ」
「熾烈!」
まず狙うのは右の代打か。
「2/22の練習試合でも一発を放って仁志二軍監督からも褒められていたわね」
「この調子で!」
とにかく、何か一芸に秀でて目だって一軍に呼ばれるように!