「なんか久しぶりに勝った気がするわ」
ほう、と息を吐き出しながら結乃が言う。
「オープン戦でも勝利は嬉しいね!」
拍手をしながら理衣が言う。
オープン戦とはいえ最下位になるのは気分がよくない。
なんとか勝ちを増やして欲しい。
「開幕投手最有力の濱口が4回1失点とまとめたわね」
「安定しているよね」
「本当はもっと長いイニングをと思うんだけど、雨天中止が多かったから仕方ないか」
「そうだよね、次の京山投手も4イニング投げたし」
「京山はこれで無失点継続、開幕ローテは文句なしね」
「これは期待だね!」
もちろん、オープン戦の調子がそのまま続くわけではない。
それでも、成長の跡が見られるのは嬉しいものである。
このまま一気に開花してもらいたい。
「打線は相変わらずパッとしなかったけれど、9回にチャンスをものにして3点をもぎ取ったわね」
「嶺井選手のタイムリーに、桑原選手のタイムリーだね」
「打線が弱い今、打撃の調子が良い嶺井が外せない感じよね」
「守備でもきっちりやってくれているよね」
一時期スローイングが不安定でイップスじゃないのか? なんて思っていた時期もあるが、そこも改善された。
レギュラー確定とはいかないが、現時点ではリードしているか。
「桑原もくらいついているわね」
「打撃さえ改善されれば守備は抜群だもんね!」
「いずれも2死からだったし、よく打ったわ」
「神里選手も1安打2四球、関根選手も代打で内野安打!」
「神里はあと2つが三振で牽制死もあってと、らしいところだけどね・・・」
送りバントの失敗もあったりと、まだミスも多い。
それでも、投手陣が全体的に好投しているのは好材料だろう。
打線が貧打なだけに、しばらくは投手陣が生命線だ。
「でも、緊急事態宣言も解除されて、ようやく外国人選手の入国の目途がつきそうね」
「嬉しいニュースだね!」
「とはいえ開幕には間に合わないし、早くても4月のいつから出場できるか」
「そこを考えても仕方ないからね、いる選手に頑張ってもらいましょう!」
「ホントよ、まったく!」
日曜は雨天中止が濃厚なので、3/20がオープン戦ラストか。
気持ち良く出陣式、そしてシーズンに突入できるような試合を期待したい。