「イースタン戦が中止になったりして大変ね!」
ニュースを見て結乃が唸るように言う。
「昨年から本当に、ね。どんだけ注意していてもね」
ニュースを後ろから覗き込んで見ながら理衣も言う。
とにかく、日々、注意して生活するしかないのか・・・?
「今日の振り返りは、牧よ!」
「スーパールーキー!」
「神奈川ナンバーワンの牧よ!」
「いつまで言い続けるんだろうね」
いつまでだって良いじゃないか。
牧の存在に助けられた序盤だった。
「ルーキーながら開幕スタメンをゲット!」
「頼もしかったね!」
「特に4月は、牧しかポジ要素がない! といわしめる活躍!」
「それは嬉しいことなの?」
ファンとしては悲しいところもあるが、それが事実でもあったわけで。
「やっぱりプロが相手で打率とかも落ちているけれど、それでも立派な成績を残しているわよね」
「何よりセカンドっていうのも大きいよね」
「そうそう、これが外野手じゃなくて、セカンドよ! 打てるセカンドとか、超楽しみじゃない!」
「これから何年も主軸をはってほしいよね!」
そして打つだけではない。
牧はその姿勢もとても良い。
「負けている試合でもベンチで声を出して鼓舞して、負けたら本当に悔しそうで、そういう姿がファンには嬉しい!」
「牧選手が喜んでいる姿を見ると、こっちも嬉しくなるよね!」
「見た目はベテラン風でも、声は意外と可愛い感じだしね」
「ベテランって・・・」
「いやいや、あのベテラン臭は戸柱に次ぐわよ!」
「あはは」
もちろん、このまますんなりシーズン終了までいくかは分からない。
柴田、倉本も戻ってくるだろうし、エキシビションマッチでは伊藤が猛アピールもしている。
牧自身の疲労や他チームの研究もあるだろう。
「それでも、将来を担ってくれるキャプテン候補でもあるとみたし、球団は大切に育てて欲しいわ!」
「とにかくこの先が楽しみ!」
「若手野手がなかなか出てこなかっただけに、嬉しいわよね」
「将来は森選手との二遊間も?」
「もちろん、他の若手もそれに負けじと発奮するように!」
頼むぜ。
牧さん!