「ということで今年もやってきました、戦力外通告!」
厳しい表情で結乃が言う。
「毎年のことだけど、辛いよね・・・」
理衣は悲しそうに言う。
ドラフトなどで新戦力を補う一方で、チームを去っていく選手もいる。
今季も、既に9人が戦力外通告を受けた。
「ということで、今回は、中井!」
「お疲れさまでしたー」
「巨人の戦力外から獲得、内外野を守れるユーティリティとしての期待ね」
「その期待には応えてくれたんじゃないかな?」
横浜は投手を優先的にドラフトしてきた。
外野は内野手からのコンバートや外国人選手もあり、タレントはある程度そろう。
内野がどうしてもウィークポイントだった。
「レギュラー張るほどではないけれど、そこそこの守備力と打力、そして巨人で鍛えられた力を出してくれれば、ってね」
「二塁や三塁を守って、時にはスタメンで出場して、ね」
「頑張ってくれたけれど、物足りなさもあったわよね」
守備が劇的に上手いわけではない。
打撃もパンチ力があるとはいえ、長打が売りではないし、確実性も高いわけではない。
勝負づよければまだしも、打点が少なかった。
「まあ、完全に、控えとしてベンチにいてくれれば有難いって感じだったわよね」
「でも、そういう選手が一人いると貴重だよね!」
「それでも今季は出番が大幅に減って、二軍暮らしが長くてとうとう、ね」
「残念」
牧の台頭で二塁が埋まった。
内野は大和、柴田、そして森が出てきて。
年齢が上になる中井が弾かれるのは、流れとしては致し方ないだろう。
「それでもベイスターズにきてからチームのために頑張ってくれたわ!」
「ありがとうございました!」