「春季キャンプは有観客の方針は変更しないみたいね」
ニュースを見て結乃がうなる。
「そうみたいだね・・・大丈夫かな」
心配そうに理衣が言う。
五輪も開催した。
キャンプを中止する理由はないだろうが、観客については果たしてどうなのか。
オミクロン株は感染力は強いが、重症化はせず風邪に近くなっているともいわれているが、どうなのか。
「うーん、難しい所よね、ってゆーか、あたしはもうキャンセルしちゃったわよ!!」
「2年連続だね、無念だね」
「あたしの場合、行っても本当にホテルと球場の徒歩往復だけで、食事もホテルの部屋でおにぎりとかサンドウィッチで済ませるから、リスクは少ないとは思うけれど」
「観光しないもんね、本当にキャンプ見学だけが目的で」
「市街地に行って外食とかもしないし、でも、万が一それでもコロナにかかったらと思っちゃうわ」
「そしたら、『何やってんだ』てな感じになりそうだよね」
「とはいえ、NPBは有観客方針なのよね」
「まあ、まだ日にちはあるし、それまでにどうなるか、ね」
この後の状況次第ではやっぱり無観客に、となるかもしれない。
一方でウィズコロナ路線にしないと経済が立ち行かないというのもある。
「はぁー。はやいところそういうの気にしないでキャンプ見学したいわ!」
「来年はそういう状況になっていると良いね」
「というか今年よ! もう今年は大丈夫か? っていう気でいただけに、色々とモチベーションが消えたわ!」
「あはは・・・まあ、ね」
床に転がってやる気を失っている結乃。
そうなるのも致し方ないというか。
「キャンプだったら中継でも十分じゃない、どうせファンサービスもないだろうし。なんて言っている人がいるけれど、そうじゃないわよ! キャンプこそ現地じゃないと意味なし、中継じゃ楽しさの半分もないんだから!」
「私たちは別にファンサービス求めてないもんね」
「練習をその場で見るのが楽しいんじゃない! それもメイン球場以外のブルペンとか、サブグラウンドとか、運動場とかでやっている練習が面白いのよ!」
「近くで見られるし、選手の素の姿も見られるしね」
そう、サインも写真撮影もいりません。
ただひたすらに練習を、その場で、間近で、空気を感じながら観たいのです!
それこそがキャンプ見学のだいご味!