「やっぱり雨天中止になったわね」
空を見上げて結乃が言う。
「こればかりは仕方ないね」
理衣も頷く。
まあ、九里相手にノーヒットで打てる気配もなかったから、中止になって良かったと考えよう。
「その分、またしわ寄せがあとにいくんだけどね」
「まあまあ、今そこを考えても仕方ないし」
「試合は中止になったけれど、2軍では小園がとうとう初登板!」
「1イニングを無事に三者凡退だって、よかったね」
「まあ、まずは登板して、無失点に抑えたことを喜びましょう。内容とかよくわからないけれど」
「これからまた、少しずつ投げていくのかな」
慎重に育成プログラムを進めている小園。
147キロの直球も投げられていたというし、まずまずというところか。
「球種があってコントロールがよく、大崩れしないまとまったタイプ、なのよね」
「ゲームメイクができそうな感じだよね」
「高校まではそれでいくらでもいけたかもだけど、プロだから、球の質を高めないとね。特に基本となるストレート!」
「まだスタートしたばかり、これからに期待です!」
大きく育ってほしいぞ。
「そして海外、メジャーでは残念ながら筒香がパイレーツを戦力外に」
「うーん、本人も悔しいだろうね!」
「とはいえ結果が出ていないのも事実。これから、またメジャーを目指してマイナーで頑張るのか」
「それとも、日本に戻ってくるのか? どちらにしても筒香選手の判断を尊重したいね」
「メジャーに挑戦できたのは紛れもなく筒香本人の頑張りだから、もし日本に戻ってくるとしても恥じる必要はないわよ」
「夢に挑戦できたんだもんね」
結果は厳しいものだったかもしれない。
でも、挑戦できないことに比べたらどれくらい幸せなことか。
「ポスティングでメジャーにいったし、背番号もあけているし、仮に日本に戻るとしたらまず横浜と話すと思うけれど」
「戻ってきてくれたら嬉しいね!」
「ポジションがないとか言っている人がいるけれど、どこへ行ってもポジション争いはあるんだから、負けずにやるだけよ」
「チーム内の競争も激しくなるしね」
まあ、まだ何も決まったわけではない。
その辺は、動きが決まってから考えましょう。
「さ、気を取り直して中日戦! 勝ち越したいわね!」
「そのためにもカード頭の大貫投手に頑張ってもらいましょう!」
まずは5割、そして貯金を目指して!