「今回は、宮本よ!」
結乃が勢いよく言う。
「戦力外の2人目です」
理衣が少し寂しそうに言う。
ドラフト下位で入団し、期待されたのは足だった。
しかしルーキーイヤーに見せてくれたのは2試合連発というパンチ力。
「パンチ力があるのはいいけれど、本当に欲しいのは足だったのよね」
「足のスペシャリストってことだね」
「2021年、三浦に監督が変わって足のスペシャリストになるチャンスはあったんだけどね」
「結果が出なかったね」
起用されてオープン戦などで盗塁を仕掛けたが、殆ど成功しなかった。
足を期待されても、足を活かした攻撃が出来なかった。
2022年も何度かチャンスをもらったけれど、結果が出なかった。
「しかも、失敗が目立った感じよね」
「守備のミスもあったしね」
「タイプ的に求められるのは小技、足、守備なんだけど、スタメンとか起用されると失敗が多いイメージでね」
「2軍では成績も残しているんだけどね」
「だからって残すって判断でもなかったんでしょうね」
同じように俊足左打の外野であれば、梶原、大橋、村川と獲得した。
更に勝又の台頭もある。
ならば切られるのは宮本になるのは致し方ないところ。
「一軍では楠本、関根、神里がいて、若手は先述のがいたからね」
「2軍の成績を考えると、他にどこかのチームでってないかなぁ」
「うーん、分からないわね。一軍でこれといった結果を残していないしね」
「年齢的にはまだまだできるんだけどね」
二軍は卒業できても一軍では活躍できない、1.5軍半の選手になってしまったか。
「トライアウトに参加して現役続行を目指すみたいね」
「足はまだまだ衰えているわけじゃないからね!」
「二軍では数字を残しているし、ここでがっつりアピールできれば、どこか引っ掛かる球団はあるかもだからね」
「応援しています!」