「3年ぶりにキャンプにいってきたわよ!」
結乃が拳をつきあげて言う。
「本当に、久しぶりって感じだったね!」
理衣も喜色満面である。
コロナもあって2021年、2022年とキャンプ見学に行くことが出来なかった。
なんのために一年間、働いているのか分からなくなるような2年間だった。
それがようやく、3年ぶりに沖縄、宜野湾に行くことが出来た。
「行けなかった分を埋めるかのように、今回のキャンプは過去最長の滞在期間よ!」
「いやー、嬉しかったね」
「本当に帰りたくなくなるわー」
「帰ってくると寒さが体に染みるね」
コロナで行けなかったけれど、逆に、コロナでテレワークが一気に進み、仕事を持ったまま沖縄に行って長期滞在も可能になった。
それは、良い事ではあったかもしれない。
まあ、仕事しながら横目でキャンプというのは、寂しいものがないものではないけれど。
行けないよりはずっとマシである。
「いやでも3年ぶりって、そんだけ行っていなかったらもう何十人も入れ替わっているからね!」
「プロの世界は入れ替わりも激しいしね」
「そんな中で健大とか見ると安心するわー」
「安心・安定の石田投手です」
10年前ともなると、在籍するのは桑原、関根といったクラスである。
「健二朗、三嶋、宮崎は奄美だからいなかったしね」
「残念だったけれど、その分、他の選手が元気でした!」
「選手たちも、久しぶりに多くのファンの前でのキャンプだったからね」
「でも今回行って、色々と変わっていたね」
・選手とファンの動線が基本的に別に
「まー、仕方ないところだけれどね。べたべた触れられたりしても困るだろうし」
「ちょっと移動が面倒になっちゃったね」
「メイン球場に入るのにぐるっと回っていかないといけないから、サブグラウンドや公園との行き来が大変なのよね」
「前は選手たちと同じ動線でメイン球場に入れたからね」
以前は選手や関係者と同じところを移動して、その姿を見ることが出来た。
今は、移動する姿は見られるけれど、見られない場所も増えた。
・選手のサインはショップでグッズを購入した人で先着制に
「いや、これも仕方ない・・・のか? 完全にチケット制になっちゃったわね」
「前みたいに、サインのためにずっと前から並び続けるのもどうかと思うけれど・・・」
「ショップで5000円以上購入の人にサイン券をプレゼントって、それはそれでどうなのって感じだけど」
「といって無制限にあげるわけにもいかないし、自由にサインして良いわけにもいかないのだろうし」
昔は、その辺を歩いている選手に話しかけて、選手の都合さえ良ければその場でサインをかいてもらえた。
今は、そいうのは完全になくなってしまった。
「ファンも増えて、選手の人気も出て、無差別にサインをするわけにいかないのはわかるけれどね」
「最近は悪質なファンの話も聞くしね」
「仕方ないんだけど、それにしても朝早くからショップに並ぶ根性が凄いわよね!」
「朝、起きたらもう並んでいたもんね・・・」
6時30分頃に眺めてみたら、その時点で既にショップの前に列が。
いつから並んでいたのか、凄いものである。
「えーと、とりあえず今回はここまでで。久しぶりだったので変わったところを言ってみたわ!」
「サインも、動線も、そういう風になったのなら仕方ないって感じだね」
「お陰で、朝早くから出て、選手を出待ちすることもなくなったわよ!」
「それは単に疲れるからじゃあ・・・」
それでもキャンプは練習を見るものと思って行っているので、次はもう少し練習についても触れる予定です~。