「ENEOSとの練習試合が行われたわ」
結乃がしょっぱい表情をして言う。
「うーん、微妙な内容だったのかな」
理衣が首を傾げる。
とりあえず、打線が酷い状況のままだった模様。
最終回に勝ちこしたものの、相手の四球、死球での自滅、押し出し、というものである。
その前に得点をしたのもエラーがらみだったり。
「まあ、とりあえず実践したということね」
「それでもほら、西浦選手が2安打とかは好材料?」
「代打としての起用になるでしょうけれど、そこで期待が出来ればいいわね」
「全員が全員、良い結果が出せるわけではないしね」
牧、宮崎は無安打だというが、この2人には練習試合一試合でどうこう言うつもりはない。
仮にCSで打てなくても短期決戦ならそういうことはあるし、仕方ないと思うだけである。
「投手では、今永はぼちぼちというところ、大貫は打たれたけれど無失点と評価が微妙な感じね」
「まあ、次に向けてあげてもらうしかないね」
「とりあえず東、今永でいくってのは既定路線で決まったから、あとは3戦目ね」
「やっぱりバウアー投手の状態次第で、大貫投手とどちらになるか、ってところかな」
練習試合はやや不安な内容に終わった。
しかし、万全な内容なら本番で完璧というわけではない。
練習がどうであろうと、本番で良いものを見せればよいのだ。
「まあ、練習で出来ないことが本番でできるわけもないけれどね」
「なんでそういう不安なことを言うかなぁ!?」
「しょうがないでしょ、小技や走塁は下手くそなんだから、先発が抑えて、打線がとにかく一発打つなりなんなりで勝つしかないのよ!」
「ま、まあ、今の横浜はそういうスタイルだよね」
抑えも森原は復帰できておらず、不安しかない。
東、今永が抑えているうちに打線がリードを広げてそのまま勝つ。
いけるとしたらこれしかないんじゃない?