後半戦の展望
オールスターが明けてペナントレースも後半に突入した。
後半最初のヤクルト3連戦は連敗で内容も酷いスタートだったが、3戦目にどうにか勝利することが出来た。
苦しい状況に変わりはないが、後半戦についてちょっと考えてみる。
「ここから連勝していくわよ!」
結乃が力強く宣言する。
首位とゲーム差がついてしまったが、暗黒時代に比べれば無いも同然のゲーム差だ。
最後まで食らいつこう。
「ということで、3試合過ぎたとはいえ後半戦の戦いを考えるわよ。まず重要なのはやはり先発ローテーション!」
「8月はずっと6連戦が続くから、先発投手は6人必要だね」
理衣の言う通り、この先しばらくはびっしり試合が詰まっており、今までみたいな変則日程も9月までは無い。
怪我、不調、疲労などはあるかもしれないが、6枚のローテで回していくことになるだろう。
「ヤクルト戦はバリオス投手、濱口投手、ウィーランド投手、だったね」
「そしてこの後の阪神戦はおそらく東、井納、今永、ね」
「バリオス投手が怪我しちゃったから、次からここに違う人が入るってことだよね」
「普通に行けば石田が入って、これでシーズン前に考えていた先発6枚が揃うってことになるわね」
80試合戦ってようやく、先発としては期待できる6人になるわけである。
「このローテはまあ、妥当よね」
「というと?」
「この先、週末のカードは阪神、広島、ヤクルトが集中しているから。そこに今やエースの東、そして井納、今永をあてる表ローテをもってくる。逆に週初めは巨人、中日が多いから、石田や濱口をあてる。保険はウィーランド」
「はー、なるほど」
相性の悪い阪神、ヤクルトに強い投手をあてる。
また強い首位カープにも通用する先発をあてる。
もちろん、復調してきた巨人も手ごわい相手ではあるのだが、相性なども考えると優先度はこうなるのが妥当か。
「不安は中継ぎ陣の疲労よね。康晃も夏場はよく打たれるし」
「でも、先発が長いイニング投げられる人が増えたから」
「そうね、東以外は休んでいる期間も多かったし、頑張ってもらわないと」
地獄の8月の横浜スタジアムだが、踏ん張って欲しい。
「打線は、ロペス選手がいつ戻ってくるか、かな?」
「そうね、ただ戻ってきてすぐに前みたいな調子で打てるか分からないし、ロペスが出ると梶谷、ソトのどちらかが外れるから、攻撃力が大幅UPとはならないけどね」
さすがにソトや宮崎に二塁を守らせることはしないだろう。よほどのことがない限り。
「セカンド、ショートは状態と相手を見て、倉本、石川、柴田を交代で。大和が戻ってきたら大和も」
「やっぱりあの守備は大きいよね」
「そうね、倉本、石川、宮崎の内野じゃあ、魔送球の嵐だしねぇ」
もう少し皆、まともな送球をして欲しい。
「捕手は光さん?」
「そらそうでしょ、あれだけ力見せられたら。打撃もある程度期待できそうだし、下位打線が恐ろしく貧弱、という状況は改善できそうね」
「むしろ、よくトレードで来てくれたってところだよね」
「てゆうか、捕手難がいきなり解決してむしろ他球団と比してストロングポイントになるかも!?」
怪我でもない限り、これから数年は捕手も安泰となるかもしれない。
「攻撃に関しては石川選手も頑張っているよね」
「そうね、何気に出塁してくれているし。守備があやういから、攻撃では貢献してくれないと。それに横浜では数少ない、バントや進塁打とかが出来る選手でもあるしね」
攻撃陣も、梶谷が戻り、伊藤が入り、マシになった。
これでロペスが戻れば精神的な支柱でもあるし、得点力が増える可能性はある。
投手と打線が噛みあい連勝の期待もできる。
むしろ連勝をどこかでしないと、上位をうかがうのは厳しいだろう。
「明るい材料が増えているのは確かよ。さあ、ここからまだまだいくわよ!」
力強く拳を振り上げる結乃であった。