2019年新戦力 #32 肩の強さなら負けない 益子 京右
「益子キャノン! って、甲斐キャノンのパクリじゃなくて、何かオリジナルを作りたいわよね」
神妙な顔をして考える結乃。
「まだプロとして試合をしているわけでもないのに、そんなこと考えなくても」
呆れたように言う理衣。
「こういうのはね、最初から考えておいても損しないわ。いざという時に困るでしょう!?」
「困らないよ・・・・」
「ということで、ドラフト五位の益子よ!」
「なんでも、二塁までの送球タイムは甲斐選手とほぼ同じとか」
「といっても、プロの試合で打者や走者と駆け引きしながら、ってわけじゃないからね」
「それでも肩が強いことに変わりはないよね」
「肩が強いだけじゃあプロの世界では生きていけないわよ!」
「だけど、高校No.1と評価されたキャッチャーを獲得できたのは嬉しいよね!」
「益子の魅力はもう一つ、打撃も良いってことよ」
「高校通算23本塁打と、長打力も結構あるよね」
「長年、打てる捕手というのはどこも欲しがっているものね」
「若い山本捕手と切磋琢磨してほしいね」
「ま、どっちかが正捕手になったら、どっちかは・・・・」
「そういうことは言わないでー!」
頭を抱える理衣だが、年齢が近いだけに仕方がない。
だが、一人の捕手でシーズンを通すのは難しいし、二人併用でうまくいくようになれば未来は明るい、かもしれない。
「そして益子選手といえば、お母さんに感謝を忘れない謙虚な心!」
「女手一つで育ててくれたんだもんね、その気持ちを忘れたらいけないわ」
「お母さんは自分の為にしかお金を使っていない、とかね、泣けちゃうよね」
「そういう話を聞くと、康晃みたいね」
「是非、活躍してお母さんを喜ばせて欲しいね!」
親への感謝を忘れず、謙虚で、野球ではリーダーシップもある。
将来が楽しみな捕手である。
「おそらく一年目は二軍で山本と併用されるでしょうけど、しっかり吸収して欲しいわね」
「そして五年後に正捕手候補に!」
「正捕手とまでいかなくても、一軍で活躍できるようになっているといいわよね」
「早く一軍で益子キャノンを見せてほしいなー」
「キャノン以外の呼び方、ないのかしら・・・・」
キャノンはともかく、その肩の強さと打撃を一軍で早く目にすることが出来るのを期待しているぞ、益子。