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【ベイスターズ小説】青き星たちの反撃 13.<CS1st>見たことのない未来に向かって

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 ベイスターズファンがスタンディングオベーションで迎え入れる。
「よくやったぞ、井納―っ!!」
「ありがとう、井納!」
 吠えるようなファンの声援を聞きながら、巡もまた惜しみない拍手を井納に送る。
 6回で交代かもと思ったが7回も続投して見事に抑えきり、7回2失点、リードを保ったまま中継ぎに後を任せた。
 誰も経験したことのないCSの適地での初戦を任され、見事にその役割を果たした。シーズンは7勝11敗にとどまったとはいえ、それだけ監督からの信頼と期待を受けて登板し、応じた井納。
 後を継いだ田中健二朗、三上も無失点でつなぎ、9回表にはロペスのホームラン、戸柱の犠牲フライで3点差をつけた。
 これなら完勝と言って良いだろう、そう思えたベイスターズファンに向けて、「まだこんなもんじゃ終わらせない」とでも見せつけるように躍動したのはジャイアンツの坂本勇人だった。
 抑えの山﨑康晃から超特大のホームランを放ち、「坂本は危険だ」という印象を更に強くつけられた。
 3点差あったから問題なかったものの、9回のダメ押し点がなければヤバい1発だった。

 そして、坂本の打棒は2戦目に入っても研ぎ澄まされていた。

 2016年10月9日、CSファーストステージ第2戦、相手先発田口の暴投で先制したベイスターズだが、その勢いを止めたのはやはり坂本のシリーズ第2号ホームランだった。
 この一点で田口-今永の若手左腕同士が投げ合う試合は膠着状態に陥った。
 均衡が破れたのは8回。
 7回1失点で降板した今永の後を受けてマウンドに上がった三上が、ジャイアンツの長野選手から痛恨の勝ち越しタイムリーを浴びてしまった。
 ジャイアンツは剛腕・マシソン投手が田口投手の後をうけて2回零封、初戦の借りを返されて対戦成績は1勝1敗、決着は第3戦までもつれることとなった。

 やはり巨人は一筋縄ではいかない。
 勝つなら連勝、勝つことを知っている選手の多い巨人を相手に3戦目までいくと厳しいかもしれない。菅野投手が不在とはいえ、熱い壁として立ちはだかる巨人。2戦目に勝ったことにより巨人は勢いづくし、逆に横浜はプレッシャーを受ける。
 負けたくない。
 ようやく辿り着いたCS、それだけでも勿論価値はあるのだが、勝ち抜いてこそ意味があると思うのだ。
 仮に3戦目で負けたところでシーズン3位、CSに出場したという価値は変わらない。それでも、ここで巨人の前に屈したら、やっぱり駄目なのかと思ってしまう。
 もう嫌なんだ、あんな時代に戻るのは。
 だから、勝ちたい。
 今までだって何度も勝ちたいと思ってきた。
 でもこの年、次の一戦、ここまで心から願ったことがあっただろうか。
 悔しさを胸に抱えて東京ドームを出ると、携帯にメールが着信していることに気が付く。

“明日は絶対に勝ちましょう!”

 シンプルなその一文は永江からのものだった。
 一戦目と二戦目は仕事の出張で観戦できないと歯噛みして悔しがっていた永江。三戦目、観たいけれど二戦目までに決めて欲しいという複雑な気持ちを抱えていたが、やると決まったからには全力で応援するだけである。
「永江くんから?」
 隣を歩く夕が尋ねてくる。
「うん、明日は勝とうって」
「当然!」
 頷き、永江に返信する。

“もちろん、勝つしかない!”

 不安はある。
 恐れもある。
 だけどそれ以上に希望がある。
 それだけで、パワーが漲ってくる。

 最後の決戦は、目の前だ。
 その先にあるものが何なのか、殆どのファンは知らない。

 

その14につづく

 

■バックナンバー
1.歴史と共に、今
2.なぜ、このチームを
3.大洋ホエールズのエース
4.歓喜の瞬間、そして
5.<過去>暗黒の始まり
6.<過去>悔しさの強さ
7.<CS1st>がっぷり四つ
8.<過去>消えゆく優勝戦士達
9.<過去>2003年、5月
10.<過去>底の底
11.<CS1st>巨人にだって負けていない
12.<過去>束の間の光

 

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