2019年振り返り #25 世界にはばたけ横浜の大砲 筒香嘉智
「とうとう筒香もメジャーかぁ」
結乃がしみじみとした口調で言う。
「いつかは行くと思っていたけれど、とうとう、だねぇ」
理衣もつられるようにしみじみとして言う。
そんな筒香の、日本での最後の（？）シーズン成績である。
＃２５ 筒香 嘉智
出場試合 ： １３１
打数 ： ５５７
打率 ：．２７２
安打数 ： １２６
ＨＲ ： ２９
打点 ： ７９
盗塁 ： ０
「まあ正直、筒香としては物足りないわよね」
「他の選手なら十分とも思える成績だけどね」
「３０本、１００打点を求められる選手だからね！」
４４本、１１０打点を放った時のことを考えれば、こんなもんじゃ少なすぎる。
「だけど成績以上に、チームを引っ張るキャプテンとしての力が大きいわよね」
「立派なキャプテンになったよね！」
地位は人を変える。
もちろん素養があってこそであろうが、まさに体現してくれていた。
「だから、そういう点も含めて６５点！」
「厳しい！」
「筒香だって満足していないだろうし、もともと求めるレベルが高いんだから仕方ないわ！」
「この悔しさは来期に････って、もうベイスターズにはいない可能性が高いんだよね」
しょんぼりと肩を落とす理衣。
「この筒香の成績じゃあ通用しない、失敗するなんて言う人が多いけれど、そういう問題じゃないのよね！」
「メジャーを志して、挑戦できるまでの選手になったってことだもんね」
「筒香にとっては、挑戦しないことの方がむしろ失敗でしょうよ」
「日本に居ればある程度の成績と年棒も確約されているけれど、そうじゃないんだよね」
より高みに、そして子供の頃からの憧れに挑戦する。
そこにこそ、意味を見出している。
「筒香がポスティングでいなくなると、打撃以上に、キャプテンシーとしてのダメージが大きいわよね」
「裏方さん含めて気を配り、他の選手にも野球だけに留まらない、視点の高いアドバイスをしていたっていうしね」
「筒香が残していったものが、どれだけ他の選手が受け取り引継いでいくか。こういうの、なくなるのはあっという間だからね」
一年で消えることはないだろうが、二年、三年で驚くほど速く消えていくことは不思議でない。
ちょっと違うかもだが、優勝した横浜があっという間に暗黒に陥ったように････
「親会社が変わったから、選手編成という点では一気に悪化することはないでしょうけれど、チームの和とか雰囲気とかを作るのは選手だからね」
「その大きな担い手がいなくなっちゃうからね」
「でも、大丈夫だと安心してメジャーに行けるよう、結果を残すしかないわ！」
「もし、今後戻ってくることがあったら、今より良いチームになっているようにね！」
いなくなることは悲しいことではない。
なぜなら、新たな挑戦のために旅立つのだから。
チームも、チームメイトも、ファンも、ＯＢも、後押しをして。
横浜の空高く
ホームランかっ飛ばせ筒香
この歌が、今度はどこの空高くとなるのか。
新たな地でも、かっ飛ばして欲しい。
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