「緊急事態宣言から2週間以上が過ぎたけれど、なかなか感染者が減らないわね!」
結乃が口をへの字にしながら言う。
「どうしても仕事がある人もいるものね」
理衣も困った様子である。
「とにかく今は耐えるのよ!」
「はい!」
「ということで、繋がりはないけれど今回は山崎! 康晃じゃないわよ、康晃はヤマサキだからね」
「山崎賢一選手、ハマの元祖・番長さんだね!」
■横浜大洋ホエールズ
横浜ベイスターズ (1981 - 1993)
■通算 2058打数 546安打 打率.265
ベストナイン(1989年)
ゴールデングラブ(1989年、1990年)
「こ~け~し~バットでさあフェンスオーバー♪」
「いきなり応援歌! 新しい方!」
「行けよ行け行け山崎 行けよ行け行け山崎 打って打って山崎 一発かっとばせー♪」
「古い方!」
「ということで、こけしバットでお馴染みの山崎賢一よ!」
「おー、名手」
「そうね、ゴールデングラブも何気に2回もとっていたのね」
「3割も打ったし、一時期は4番も打ったよね!」
「山崎が4番を打たざるをえないチーム状況だっただけなんだけどね!」
ポンセが不振で、致しかたなく繋ぎの4番として入ったわけだ。
「あのときは、打撃でいえば山崎しか希望が無かったような感じだったからね」
「そこまで言う?」
「いやー、しゃあない!」
「そんな清々しく言われても・・・・」
「え、だって山崎が4番よ? 絶望しか感じないでしょ?」
「そこまで言う!?」
「タイプ的には2番とか、7番とかあたりじゃない? それが4番よ?」
「そ、そこまで言わなくても」
「もちろん、山崎本人が悪いわけじゃないわよ。時代が悪かったのよ!」
「時代のせいにしちゃった・・・・」
「そして山崎といえば、山崎一家ね!」
「ああ、応援団の・・・・」
「多くは語らないわ!」
「まあ、そうだね・・・・」
「こけしバットはグリップが大きくて重いから、それで腰を痛めて成績が落ちたとも言われているわ」
「良いことばかりじゃないんだね」
「体も大きくなかったからね、無理もたたったのかもね」
山崎といえば、93年の、あの選手の中の一人。
その中でも、横浜に、ベイスターズにとんと縁がない。
あの断トツで弱い時の4番を担ってもらった選手なのに、なんとも切ないではないか。
「こけしバット、長打のない4番として、全国的に有名になってくれたことは嬉しかったわね」
「そうだよね!」
「何せ、他に良いニュースがなかったからね!」
「またそれ!!」