「これまたトレードで来た濱矢だけど、こちらも戦力外ね」
なんともいえない表情で結乃が言う。
「仕方ないとはいえ、早かったね」
理衣も残念そうである。
威力のあるボールを投げるが、制球に課題のある左腕。
左腕はいくらいても困らないというか、沢山いる中で活躍できるのは一握り。
先発でも中継ぎでも出てきてくれれば有難い、ということで獲得したのだろうが、結果は出なかった。
「ＷＬにも参加したりしたんだけど、それでも二軍から上げるまでにはいかなかったみたいね」
「やっぱり制球かな？」
「うーん。二軍で防御率は３．６０と特筆して悪いわけじゃないけれど、何人かは切らないといけないし、その競争に敗れたってことでしょうね」
「勝負の世界だもんね」
左腕であれば砂田がそこそこ復活した。
そしてドラフトで左腕を三人、獲得している。
そういうことだろう。
「入団した当初は期待もされていたし、キャンプもまあ、見るためもあったでしょうけれど１軍だったし」
「一軍で投げたりもしたんだけど、結果が残せなかったね」
「残念なのは、トレードの熊原も戦力外になったことね」
「熊さん････」
理衣がしょんぼりと肩を落とす。
互いに元のチームで芽が出ず、環境を変えればということでトレードになったのだろうが。
双方ともに結果を出すことが出来なかった。
「それでもトレード失敗とは言いたくないわね。お互い、環境が変わって化けることを願ってのトレードだったんだから」
「熊原投手、この先どうするのかな。むしろそれが心配････」
「天然だし、サラリーマンとか無理そうだもんね。実家を手伝いながら、次の何かを見つけるのはどうかしら？」
「ていうか、濱矢投手の話だよね？」
「濱矢も、頑張れ！ まだ若いもんね！」
濱矢も熊原も、華咲かなかったがありがとう！
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