「今回は! 梶谷よ!」
結乃が胸を張って言う。
「素晴らしい成績だったよね」
理衣が拍手しながら言う。
#3 梶谷 隆幸
出場試合 : 109
打数 : 433
打率 :.323
安打数 : 140
HR : 19
打点 : 53
盗塁 : 13
「2020年は本当によく頑張ってくれたわよね!」
「キャリアハイの成績、だもんね」
「最後まで首位打者、最多安打のタイトルも争ってね」
「全試合に出場出来れば最多安打はいけたかもだけどね」
「まあ、元気に試合に出続けるのも才能の一つだから、そういう意味では大島は凄いわよね」
「それでも大きな怪我、不調がなく一年間を過ごしてこの数字だもんね!」
身体能力は素晴らしいが、ムラも大きい。
だからこそ、打率3割で首位打者を争うなどとは想像していなかった。
「一番打者として四球も選ぶようになって、球数も稼ぎ、大きいのも打てる。素晴らしいわね」
「技術的な向上が大きいって本人も言っていたよね。反対方向に打てるようになったって」
「それで出塁率もあがり、出塁率もリーグ5位、得点数はリーグ1位だからね!」
「首位打者、最多安打じゃなくても、誇らしいよね」
試合数は少なくても、ほぼフルで出場していた2014、15、17年より安打数や塁打数は上回っていたりするのだ、それだけ確実性は増しながら、長打率も5割を超過している。
本当に、進化し、保有していたポテンシャルを発揮した一年だったといえよう。
「本当は盗塁をもっと、最低20以上、できれば30以上はして欲しいところだけれど」
「シーズン序盤、失敗が目立ったかもね」
「ベテランの域に入ってきたとはいえ、まだ老け込む年齢じゃないからね!」
「パリーグに負けず、ガンガン走りまくって欲しいね!」
「ということで2020年は文句なし、90点 ね!」
「減点理由は?」
「まあ、満点つけると上がり目がないってなっちゃうし、盗塁とか、背中の張りとかね」
「2021年がどうなるか楽しみだよね!」
問題は、FAで残るかどうか、というところだろう。
「ここはもう、信じるしかないけれど、こればっかりは本人が獲得した権利だからね」
「残って欲しい!」
神里や細川がいるとはいえ、抜けたらダメージはある。
苦しい思いもしただろうが、横浜に残って欲しいと思う。
「もちろん、2年続けて同じような成績を残せるか、という不安はあるけれど、少なくともホームラン、盗塁は同じかそれ以上は期待できるはず」
「結婚して、コンディション管理もよくなったしね」
「まあ、夏場の課題があるとはいえ、少し休みを入れながら出ればそこはいけるでしょう。あとは打率、出塁率だけど、打率は落ちても出塁率を同程度キープしてくれればね」
「梶谷選手は出塁して、走ってこそだもんね」
「三浦監督を胴上げしようぜ、カジ!」
優勝したいという気持ちも分かる。
願わくは、横浜に残って、自分がチームを引っ張って優勝、という形になってくれたら最高だ。