「二日連続雨天中止かー、まあ仕方ないけれど」
諦めたように結乃が言う。
「今日はなんとかやりたかったけれどね」
理衣は残念そうである。
なんといってもこの日は石川雄洋の引退セレモニーが予定されていた。
更に先発は、手術から復帰した今永の予定だった。
「せっかく休みを取ってチケットも確保していたのに！！」
「天気には勝てないけれど、悔しいよね」
「ていうか、中止にするならさっさとしなさいよね！」
「石川選手のセレモニーがあったから、球団としてもギリギリまで粘ったんだろうね」
とはいえ、雨雲レーダーでは、時間が経つほど雨は強くなるようにも見えたし、やむようには見えなかった。
ならば、早めに中止を決めるのもファンのためではないか。
「球場の周りには、雄洋グッズを持ったファンばかり大量にいたみたいね」
「石川選手のグッズを持っていない人がいないくらい、って言っていたね」
「それだけ、皆が楽しみにしていたのよ」
「なんとか他の日に出来ると良いけれどね」
アメフトに転向することを決めた石川。
所属先のノジマ相模原ライズのスケジュール次第かもしれないが、中止ではなく延期になって欲しい。
さすがに何もなしでフェードアウトは寂し過ぎるだろう。
「でもこの後、横浜スタジアムに戻ってくるのは８月後半なのよね」
「ああ、オリパラ期間に入るからね」
「公式戦の日程で出来ないならファンフェス・・・うーん、どうなのかしらね」
「どういう形でも良いから、ファンの皆にお別れする機会が欲しいよね」
叩かれたけれど、その叩かれが通り過ぎて愛されるようになった選手。
また、新たな予定を待っていますよ、ベイスターズさん！
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