「振り返りの前に、戦力外となった選手について語るわ!」
結乃がなんともいえない表情をして言う。
「毎年のことだけれど辛いね」
理衣も少し寂しそうな顔をしている。
「初回は、三上よ!」
「三上投手が戦力外になるなんてね・・・」
「最初にもってきたのは、このコラムがあったからよ」
戦力外通告を受けた“ブルペンのお兄ちゃん”DeNA・三上朋也から、三嶋一輝と山﨑康晃が学んだこと
「本当に、三上はブルペンの兄貴って感じだったわね」
「いてくれると安心するよね!」
「記事の中でも言っているけれど、いつもフラットなのよね。浮き沈みしないというか」
「それが、他の選手からすると頼りになるし、安心感をもたらしてもくれるんだろうね」
中継ぎは苦しい立場だ。
登板数も多く、ピンチで投げることもあるし、接戦で投げれば勝負を決める投球をすることもある。
当然、打たれることもあるし、そうなればチームの勝敗に直結することも多い。
「打たれれば誰しも落ち込むだろうけれど、三上にはそういう感じがないのよね」
「今日はしょうがないか、みたいなね」
「良い意味で、ということでね。登板が多いだけに、そういうメンタルも必要よね」
「どんな場面でも表情変えずにひょうひょうと投げるよね」
「なんか、適当に投げて、適当に打たれながら適当に抑えて戻ってくるっていうね」
「あはは、テンポがはやいよね」
打たれるにしても抑えるにしても、ポンポン投げてさくさく終わる。
それが三上である。
「やっぱりルーキーイヤーが一番良かったわよね」
「新人で21セーブあげたもんね」
「あの時の、サイドとスリークォーターの間あたりから投げた、汚いストレートが一番威力があったわ」
「汚いストレート・・・」
「ただ、あのストレートは負担がかかるのか、投げるのをやめちゃったのよね」
「上から投げる方が150キロとか出ていたけれど、打たれていたもんね」
「速くても打ちやすい球だったってことでしょうね」
「難しいところだね」
ルーキー時代の投げ方でストレートとスライダーを投げ続けられていれば、もう少し長くできたのか。
いや、それで肘を痛めたのもあるし、そう簡単なものでもないか。
「ただ、別に戦力にならないほど衰えた感じではないのよね。ただ、コストとポジションのバランスよね」
「今だと勝ちパターンに入るわけじゃない、でもビハインドで起用するには年俸が高い・・・」
「減俸して残す手もあるけれど、それなら若手で、ってなっちゃうところよね」
「新しい選手も入れないといけないしね」
チームとしては入れ替えが必要。
そのタイミングで、年齢、結果、年俸、そういうトータルを考えての戦力外、ということだろう。
「チーム事情があえば、まだ他の球団でやれるだけの力はあると思うんだけどね」
「登板数は減ったけれど、物凄く悪い成績ってわけでもないもんね」
「チームとしてはフロントにって考えもあるだろうけれど、体も悪くなくて、本人もまだできると思っているんだったら頑張って欲しいわね」
「応援しています!」
チームが獲得している法大出身者の長男でもあった三上。
キャラクター的にも好きだった。
いなくなるのは寂しいけれど、まだまだ頑張って欲しいですぞ!