「なんと、4月を終えて単独首位よ!」
結乃が勢いごんで言う。
「貯金9,2位に3ゲーム差をつけています!」
理衣も喜色満面である。
開幕4連敗をしたときは、連敗もそうだが試合の内容も酷くてどうなるかと思った。
だがそこから先発陣が奮起して試合を作り、野手陣も好調とはいえなくても宮崎や関根の活躍で接戦をものにすることができた。
「そんな好調だけれど、そう簡単には信じないわよ!」
「えっ、なんでそんなこと言うの!?」
「甘いわね、今までどれだけ苦汁をなめてきたと思うの!? 信じないという言い方は違うわね、安心はしないってことね」
「そりゃまあ、まだ4月終わったばかりだもんね」
「あたし常に、3連戦の前には3連敗するかも、と想定をしながら入っているからね!」
「そこまで常にネガティブにならなくても・・・」
とはいえ以前も、交流戦前まで絶好調だったけれどそこから急降下。
前半戦首位も、シーズン終了時には最下位なんてこともありました。
「まずは今週よ! 広島戦が一つの試金石ね」
「というと?」
「相手は恐らく床田、九里、そして森下あたりでくる表ローテ! それに対しベイスターズは裏ローテ!」
「裏ローテと言っても、勝ち頭のガゼルマン投手に好調の石田投手、そしてバウアー投手だよ」
「甘いわね。バウアーはブランクもあるし日本の1軍相手のどうなるか分からないし、石田やガゼルマンだって今永や東に比べたら、ねえ」
「高望みだねぇ」
京山や阪口で臨まなければならなかったことを考えれば、全然問題ないローテではあるのだが。
「それに広島には昨年、ぼろクソにやられたからね」
「まあねぇ」
「最初のカードにマツダで勝ちこしたとはいえ、今永の力投、栗林の不調もあったしね」
「こちらもエスコバー投手の不調があったけれどね」
「さらに菊池、西川、秋山の好調1-3番に、打率は低くても一発のあるマクブルームにデビッドソンと、打線も怖いしね」
「巨人戦の3戦目で火がついちゃった感じだねぇ」
横浜の広島戦となれば打ち合いになるイメージもある。
果たして今季初の横浜での広島戦、どうなるか。
「その後のヤクルト戦も、向こうは高橋、小川、吉村の表ローテでくるでしょ」
「こちらも今永投手、東投手。あとは大貫投手が落ちちゃったから、誰かな。濱口投手とか?」
「この辺の投手起用も鍵ね」
「バウアー投手は中4日だし、どうなるか、だね」
まあそれでも、今の先発投手陣でいけるのであれば、昔のように大型連敗して急降下するようなことはないのではないか、とも思えるが。
「あとは横浜スタジアムで勝率が良いのは選手にも好影響を与えるわよね。ここなら勝てる、って精神的な強さにもなるし」
「声出し応援が選手の力にもなるよね」
「すり鉢状の球場が、相手にプレッシャーを与えるのよね」
「地の利も活かして、まずはカード初戦をいきましょう!」
広島も下馬評は高くなかったがここまで5割の戦いをしている。
栗林の不調がなければ、貯金もできていたはずでチーム状態は悪くない。
そこに、昨年の相性の悪さ。
ここでまた勝ち越し、不安を払拭していきたい。
「そう思っている中で、なんかネットでまた別の話題が炎上しているわね・・・」
「パフォ―マンスの件だね」
「あれはねー、確かにあたし個人としては公式がファンを煽るようなことはやめてほしいわね。しかも三振を奪った後のパフォとか」
「これ、相手にやられたらと思うとね。しかもファンと一緒に球場と一体になってとか」
「例えば三振を奪ってピンチを脱した、とかの限定ならまだ考慮の余地はあるかもだけど」
「人によって受け取り方も違うだろうし、こういうのは難しいよね」
何が事実か分からないけれど。
ただ、康晃のやり方、言い方はよくないですよね、あれは。
こういうところから変にガタガタいかないと良いのですけれど。