「濱口まで！？」
結乃が歯噛みする。
「打球が直撃って、ついてないね」
理衣も気落ちしたような表情である。
「誰を責めようもないのが辛いわね」
中日戦、敗戦したこと以上に、濱口が負傷したことが痛い。
「ローテは今永、井納、濱口が安定していただけに、その１本が抜けるのはね」
「幸い、大きな怪我ではないみたいだけど」
「ローテ一回飛ばすかもってなっていたわよね。誰かかわりいるのかしら？」
結乃は首を傾げる。
「そもそも、京山が落とされていないのも、下で順調に回復していたと思われる平良の体調不良によるもの。あげられる投手がいないのよね！」
「バリオス投手が好投したみたいだけど」
「そうねえ、あるとしたらバリオスかしらね？」
東も石田もまだ無理、飯塚も消息不明。
開幕前のローテ争いはいったいどこに行ったのやら。
「それでも、ここも筒香と同じで無理するわけにはいかないものね」
「なんとか、他の人達で頑張ってフォローだね！」
「そうよ、ファンからしてみたらやきもきするけれど、２軍にいる選手にしてみたら１軍選手の怪我はチャンスよ！ ここで奪い取ってやる、くらいの気概が欲しいわ！」
若手の時の三浦だって、先輩達が打たれれば自分が投げられると思っていたのだ。
レギュラーを狙っている選手は、それくらいギラギラしているところがあってもよい。
チームの為、というのは自分が結果を出してから言えばよい。
「さて、筒香もいつスタメンに復帰するかわからない苦しい状況の中、次はカープ戦！」
「巨人に逆転勝利して、上昇ムード？」
「そういう可能性もあるからね、なんとか初戦、今永で取っておきたいわ。何せ２戦目は京山だしね！」
「また、そういうことを言う････」
連敗は止めておきたいし、敵地で頭を取っておくのも大きい。
そして広島を浮上させないようにしたい。
苦しい状況こそ、力が試される。
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