「育成から支配下登録を勝ち取った田村だったけど」
渋い表情の結乃。
「戦力外になっちゃったね」
はふぅ、とため息をつく理衣。
「田村といえばなんといっても！」
「いっても？」
「とにかく足が速いという！」
「おおー！」
「でも投手だからね、披露する機会はなかったわね」
「どれくらい速いのか、試合で見て見たかったねー」
「投手としては････一軍でちょっとだけ投げたけど、駄目だったわね」
「ていうか、プロ初登板きりで、終わっちゃったみたい」
「球は速かったけれど、結構あっさりと打たれたわよね」
１イニング２失点。
それが田村の、一軍での全てだった。
「やっぱりプロ、球が速いだけじゃ通用しないってことだよね」
「足も速かったけどダメだったわね」
「どれくらい速かったんだろうね？」
「大学の後輩、阪神の近本も敵わなかったそうよ」
「それは凄い！！」
野手としてのセンスがあれば面白かったかもしれないが。
「育成からの支配下という点では、笠井がいるからね。笠井がそこそこ成績残したから、どうしてもね」
「ここも枠問題だね」
「育成出身となると、どうしても順位は下がるでしょうからね」
まだまだ猶予を、といってられないのだろう。
特に大卒の育成枠ともなると。
「足の速さを今後は活かせるとよいわね！」
「そんな無茶な････」
一度でいいからタムジョーの脚の速さを試合でみてみたかった！
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