「いよいよ全体練習も始まったらしいわね！」
嬉々として結乃が言う。
「監督も練習を見たらしいし、本格的に始動だね」
理衣も嬉しそうに言う。
長らく練習もままならなかったが、ようやく動き出した。
もちろん、まだまだ予断は許さないわけだが、選手もファンも嬉しいことである。
「そして今回は、大家よ！」
■横浜ベイスターズ (1994 - 1998)
横浜ベイスターズ (2010 - 2011)
■通算 ８勝 １７敗 （NPB）
通算 ５１勝 ６８敗 １ホールド
「大家といえばコーチよね！」
「それはもういいから････」
「ノリが悪いわね！」
「そういう問題じゃなくて。大家さんは選手としてもコーチとしても活躍しているでしょ！」
「なんといっても大家の印象といえばプロ初登板よね」
「というと？」
「高卒ルーキーが一年目にいきなり登板し、しかも３球で勝利投手に！」
「それは確かに、印象に残るよね」
「シーズン終了間際とかじゃなくて、開幕直後の４月だからね！」
「期待の新星登場だ！」
これは「もっている」新人が現れたと、ファンは一気に期待をしたものである。
「まー、高卒だし、そう簡単にはいかなくてその後は結果を出せていないけれど････」
「メジャーに行って大活躍！ だもんね」
「若手を快く送り出した球団もなかなかね」
結果を出せていなかったとはいえ若手の希望株であることに変わりはないわけで。
球団はどういう気持ちで送り出したのか知りたいものである。
「メジャーで開花、二桁勝利も記録して５０勝以上あげているからね」
「メジャーで５０勝したなんて凄いよね」
「そのメジャーで生き残ったノウハウをもって横浜に復帰！ あの弱い横浜に復帰して７勝もしてくれたのよ！」
「そこを力説されても･･･」
とはいえ、横浜での選手としての活躍はそれくらい。
それでもメジャーで結果を残した選手が、弱かった球団に戻ってくれたのは有難かったし嬉しかった。
しかも、初勝利をあげたルーキーイヤー以来のＮＰＢの勝利というのも凄い。
「そして今では二軍の投手コーチとして若手に色々と教えてくれているわけよ」
「大家コーチのおかげで成績を残せたって投手も多いみたいだね」
「国吉なんかも、カットボールを教わったとか言っていたわね」
「あとは京山投手が活躍したのも大家コーチのカットが大きかったみたいだね」
「頼もしいわよね！」
ＮＰＢに始まりメジャー、マイナー、独立リーグと、野球をするためいくつもの球団を渡り歩いてきた。
その力は、確実に若い投手たちに役立っているはずである。
「ということで、投手王国のためにも引き続きよろしく！」
「本当にね！」
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