「オープン戦初勝利ね」
結乃が落ち着いた顔をして言う。
「まずはおめでとうございます!」
理衣が拍手する。
勝敗にこだわる時期でないとはいえ。
やはり一つ白星があると落ち着くというものである。
「良いところも悪いところも拾い上げていきましょう」
「まずは良いところ?」
「先発の平良は3回1失点と、ぼちぼちの仕上がりかしら?」
「ちょっと高めに浮いたりとかもあったけれど、大きく崩れなかったしね」
「風の影響もあったかもね」
「強風だったねー」
ファウルフライと思われたのが大きく押し戻されてポトリと落ちたりもした。
その後は、野手も風の強さを補正してキャッチ出来ていたようだが。
「そして相変わらず深沢が良いわね!」
「この日も2イニング無失点!」
「小園がイマイチなだけに、良さが目立つわね」
「小園投手は最初のイニングが悪かったね…でもその後は立ち直った感じだけど」
とはいえ、一軍に近いのは深沢だろう。
心配なのは、肘の張りを訴えて2イニングで交代したこと。
大事をとっただけで、怪我とか故障でなければよいのだが。
「打撃陣では、佐野が2安打1四球と全打席出塁」
「さすがの技術、流し打ちすればヒットも出ます」
「長打が出にくいってのはあるけれど、毎回シフトにひっかかるよりはね」
「2024年はどういう打撃にシフトしていくのか注目だね」
「更にこの試合も西巻が2安打1犠飛と、仕事をこなしすぎている!」
「本当に毎試合、求められたことをするよね」
「今の状態なら一番欲しい選手よね」
「このまま維持して欲しいね」
内野では林もタイムリーを放ち、石上は走塁で良いところを見せてくれた。
悩ましいところである。
「外野では、度会がオープン戦初ヒット」
「左投手の球を引っ張ってヒットってのも大きいね」
「1本出ると安心もするし、ここからどれだけいけるかね」
「そして勝又選手が3塁打!」
「勝又、度会と、一軍に残したいわよねー」
「とにかく泥臭く、がむしゃらです!」
結果が出続けると、本当に楽しみになりますね。