「CSを控えて、先発投手を予想するわよ!」
結乃が鉛筆を握りしめて高らかに言う。
「なんか久しぶりだね、予想するの」
理衣はネットで過去の登板内容を確認している。
「まあ予想と言いつつ、もうそろそろ発表されるはずだけどね」
「私達は、それより前に予想していますから!」
メタ的なことを言う結乃と理衣であった。
「普通に考えれば、この前土曜に投げた今永が中6日、今シーズンの成績的にも、妥当なんだけど」
「違う可能性もあるの?」
「シーズン最後の2試合で7失点。タイガースにも打ち込まれたからねー」
思い悩む結乃。
とはいえ、13勝したエースを投げさせず、もしもCS1stで負けたら悔いが残ることも確か。
「初戦に上茶谷、二戦目に今永、っていうのもあると思うのよね」
「上茶谷投手、阪神戦で8回まで無失点の時もあったよね」
「そうそう。そして、ハマスタでの成績が良いというのもあるし」
「ネットとかだと、井納投手の名前もあがっているね」
「こういう試合で好投すること多いし、ハマスタでも5回くらいまでは良いのよね。体調さえ戻っていれば」
今永、上茶谷、井納、バリオス
このあたりが1stの候補か?
「濱口が間に合うなら、3戦目濱口というのもあると思ったけれど、紅白戦で打ち込まれたわね」
「代わりに好投したのが大貫投手だね」
「とはいえ、ちょっと怖いわよね。バリオスもありえるわね」
「あとは東投手が間に合えば、だったけれど、フェニックスリーグの参加が決まったからなさそうだねー」
がっくりと肩を落とす。
いない人間に期待したくなるほどの状態だが、出来る人間で頑張るしかない。
「一方の阪神は西、青柳がくることは確実でしょうね。あと一人に誰を持ってくるかね」
「うー、どっちも苦手な投手だね」
「大丈夫、苦手じゃない投手なんていないから!!」
「大丈夫じゃないよ!?」
しかし、CSはまた別のものだともいえる。
シーズンで打てなくても、打てるかもしれない。
打撃陣も、1週間の調整をおいて復活しているかもしれない。
「何より、やられっぱなしでいられるか! っていう選手の気持ちにも期待したいわ!」
「奮起してほしいよね!」
「これでやられたら、2020年も同じになるわよ!」
投手事情が苦しいのは確かだが、言い訳になるだけ。
CSでは頼むぞ、今永。