「とうとう開幕した２０２０年プロ野球！」
いきなり、結乃が高らかに言う。
いつも通りに生温かく見守るのが理衣。
「開幕３連戦を終えての感想を！」
「待ってました！」
「一言でいうならば、２０１９年と変わっていない戦い方ね」
「そう？」
「とりあえず細かい作戦はなし！ 重量打線で誰かが打つのを、打線がつながるのを待つ！ もちろんファースト・ストライクから積極的に打ちに行く！」
「まあ、監督が同じだから、基本線は変わらないよね」
「選手の顔というか、タイプも同じだからね」
そして、それが良い方向に出なかったのが開幕３連戦だったということ。
「何せつながらない！ ランナー出ても送れない、返せない！」
「一応、送りバントは重要な場面で決めているけどね」
「点にはつながらなかったからね」
逆にカープは良い当たりじゃなくても点を取っていた。
要は、変わらないということだ。
「あとあれね、守備がね。梶谷も、佐野もね。外野がね」
「うーん、確かに横浜スタジアムで簡単に３塁打とかは出したくないよね」
「もっと広い球場になったときが怖いわね。まだ守備に衰えが出る年齢でもないんだし、気張れ！」
「良いところもあったでしょ？」
「そうね、印象の悪い逆転負けが続いたけれど、先発はそれなりに結果を出しているからね」
今永 ５回２失点
ピープルズ ６回１失点
平良 ６回１失点
中継ぎ崩壊も恐いが、先発崩壊は更に中継ぎに負担をかけることになる。
今のところ、そうなっていない。
「ま、まだ１カードだけだけど、そこで崩れるより遥かに良いし、未知数のピープルズが良い投球してくれたし」
「これから楽しみだよね！」
「外国人枠が悩みだけどね。ホント、これで開幕１０日間オースティンがスタメン無しだったりしたら、最初から２軍にしとけ！ って声を大にして言うわよ！？」
「次のカードでは出場するかな？」
「とにかく、１－６番までの打者で点を取る。それだけね、打線は。作戦もくそもないわ」
「それで相手投手にプレッシャーをかけさせるという作戦だよね」
「きけば良いけどねー」
本当にそうなら、やはりオースティンがいないと迫力には欠ける。
「それとやっぱり梶谷よね！ 本人も１番は苦手と言っているけれど、そんなこと言ってられる立場じゃないからね！」
出塁して、足を使えるようにしてほしい。
そうすることで、２番以降の打者もより活きてくるのだから。
「最低限、ヒットは出た。あとは四球とか、粘りとか、出せると良いんだけど」
「これから調子を上げてくれると信じよう！」
「なんとか、しばらくはくらいついていくのよ！」
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