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【ベイスターズ小説】青き星たちの反撃 20.<過去>DeNA

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 DeNAになってチームの空気が変わろうが、勝てないことに変わりはない。

 事実、チーム成績は向上していない。

 前年度の、横浜ベイスターズとしての最終年の戦績と比べてみても殆ど変わらない、いやむしろ少し悪いくらいではなかったか。

 優勝争いどころか、CS出場争いからもあっさりと脱落している。

 それでも異なっていたのは、選手達が上を目指していたことだろうか。4月から浮上することなく最下位をぶっちぎる状況ではあったが、途中で少し五位チームとの差が詰まってきたところで「五位を目指します!」と選手が宣言すると大盛り上がりとなった。

 前年までは、そういうコメントすら聞くことが出来なかったし、したところで失笑されるだけだっただろう。

 今も失笑されることに変わりはないかもしれないが、「もしかしたら狙えるかも?」という思いも多くなっているように感じられた。

「――とはいえ、儚い夢だったよな」

 呟く巡。

 微かに見えたかもしれない五位チームの背中だったが、あっさりとその姿は霧のかなたにかすんで見えなくなっていた。

「ベイスターズ、やっぱ監督が中畑じゃあ何も変わらなかったな」

 先輩社員の言葉に言い返すことも出来ない。

 実際、巡だって思っていた。

 色々と頑張ってくれていたのだろうが、結果が付いてこなければ意味がない。もちろん、ロクな戦力もない状況で全ての責任を監督に負わせられないことは理解していたが。それでもプロは結果が全てなのだ、本当に強くなっているところを見せてほしい。言葉だけ、気持ちだけでは見ていられない。

 巡はそう、思っていた。

 結果を見ても酷いものであった。

 

  •  月間勝ち越し無し
  •  セ・リーグ全球団に対し負け越し
  •  5位チームと9.5ゲーム差での最下位

 

 ただ、ここ何年も見慣れたことばかりであり、いつも通りだなと思ってしまうところもある。

 最も悔しいと感じたのは、ジャイアンツに全く歯が立たなかったこと。

 ジャイアンツ戦は4勝しかあげることができず、東京ドームでは全敗だった。ぶっちぎりで優勝したジャイアンツとはいえ、屈辱でしかない。

 戦力が違いすぎる、選手の技術レベル、精神的レベルが違いすぎる。そんなこと分かっているけれど同じプロのはず、どうしてここまで差があるのか。

 暗黒時代の闇の深さは、そう簡単に振り払えるものではない。

 当たり前だ。

 

『熱いぜ! DeNA』

 

 などとスローガンをうたったところで、結果が付いてこなければ周囲は冷める。

 ましてや口にしているのはジャイアンツOBの中畑清である。出身の球団にこだわっていても仕方ないと思いつつ、応援に力が入らない。

 このままファンとしての情熱も戻らないまま野球を見続けることになるのだろうか。日々をただ過ごしているような状況の中、巡の心を動かす出来事が一つあった。

 それはDeNAに関するニュースではないが、大きな関心を呼ぶ事態ではあった。

 

 石井琢朗の引退発表であった。

 

つづく

 

■バックナンバー
1.歴史と共に、今
2.なぜ、このチームを
3.大洋ホエールズのエース
4.歓喜の瞬間、そして
5.<過去>暗黒の始まり
6.<過去>悔しさの強さ
7.<CS1st>がっぷり四つ
8.<過去>消えゆく優勝戦士達
9.<過去>2003年、5月
10.<過去>底の底
11.<CS1st>巨人にだって負けていない
12.<過去>束の間の光
13.<CS1st>見たことのない未来に向かって
14.<過去>光ささぬ闇
15.<過去>心の弱さ
16.<過去>横浜魂を抱いて
17.<CS1st>死闘の幕開け
18.<過去>変化の予兆

19.<CS1st>一進一退

 

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